2009年11月25日 (水)

■ 22年4月1日より改正労働基準法が施行されます

改正の趣旨として、厚生労働省では以下のように示しています。

労働時間の現状を見ると、週60時間以上労働する労働者の割合は、全体の中で10.0%、特に30歳代の子育て世代の男性の中では20.0%となっており、長時間にわたり労働する労働者の割合が高くなっています。(総務省「労働力調査」平成20年)

こうした働き方に対し、労働者が健康を保持しながら労働以外の生活のための時間を確保して働くことができるよう労働環境を整備することが重要な課題となっています。

このため、長時間労働を抑制し、労働者の健康を確保するとともに仕事と生活の調和がとれた社会を実現することを目的とした改正労働基準法が成立しました。改正の趣旨・内容をご理解いただき、長時間労働の抑制等に向けた積極的な取組をお願いします

もともと会社は時間外労働に対する賃金を支払う義務がありますが、長時間労働をさせた会社にはさらに大きい割合の賃金を支払うようにさせ、長時間労働をなくすなどの勤務時間見直しから労働者の健康につなげるという考えです。

中小企業においては従業員が足りない等の理由から長時間労働になってしまうことも少なくありません。長時間の労働は疲労につながり、また、過労死を引き起こす原因にもなります。

最近では、大企業のサービス残業や超過勤務の賃金不払問題などが取り上げられていますが、私たち中小企業にも労働基準監督署の調査が頻繁に入るようになっているそうです。

今やその調査を通過するためだけに対策をとるのではなく、従業員の健康管理も会社が考える時代になってきているといえます。

しかし、健康管理は個人の問題でもあることは言うまでもありません。   (廣島 三津子)

2009年11月17日 (火)

■ 残業代が5割増になるの?

「来年から残業させた場合には5割増しの残業代を払わなければいけないのですか?」という質問をたまに受けます。

確かに労働基準法の改正があり、平成22年4月1日から、下記のように月の残業時間が増えるにつれ、3段階で高い残業代を支払わなければならなくなります。

残業時間45時間まで・・・2割5分以上増(義務)

残業時間45時間超

    60時間まで・・・2割5分超増(努力義務)

残業時間60時間超・・・・5割超増(義務)

しかし、当面は大企業に限られており中小企業については3年後に改めて検討することとされています。

労働基準法は労働条件の最低の基準を定め、その基準以下で働かせた使用者には罰則の適用があるという法律です。強盗をすれば処罰されるのと同様に、労働基準法に違反して残業代を払わなければ処罰されます。

当面猶予されているとはいえ、罰則付きの法律が改正されたことは、中小企業も重く受け止めておく必要があります。

5割増の残業代は時間単位の有給休暇に代えてもよい。

~月60時間を超えた残業には5割増で残業代を支払え~

来年度からたいへん厳しい法改正となるわけですが、合わせて“代替休暇”の仕組みができます。

5割増の残業代の支払をしなくても有給休暇を与えればそれでいいですよ、ということですが、今まで通り2割5分の割増賃金分は払わなければなりません。「5割のうち残りの2割5分を、割増賃金の支払に代えて、有給の休暇(代替休暇)の付与で代替することができる」というものです。

例えば、68時間残業をしたとき、60時間を超えた8時間分を休暇と振替えようとすると、その代替休暇は8時間の2割5分で、時間にすると2時間となります。年次有給休暇が時間単位で取れるのであれば、代替休暇2時間と年次有給休暇6時間で1日の休暇とすることができることになります。

年次有給休暇は1日単位で取ることが原則です。けれども法改正により、労使協定を締結すれば、時間単位での有給休暇取得が可能になります。

◎「残業は月45時間以内に抑える」推進を!

残業時間が月45時間以内であれば、今までどおり2割5分増の残業代でいいのです。中小企業には義務化の猶予があるので今のうちから、人材の確保等をして、月45時間以上の残業はしない・させないという体制作りに、真剣に取り組みましょう。            (水田 裕之)

2009年11月11日 (水)

■成長事業分野としての観光業

日本においては今までのように輸出依存を中心とした大量生産型の製造業では、全国民に職を与えることはできないであろうといわれている。同じ運命を経験した英国、ヨーロッパはこの余剰人口を観光業などのサービス業で吸収している。

このように観光業を主要産業として位置づけている国は多く、またほとんどの国や地域で観光業の成長が図られている。

例えば、フランスには年間7,600万人(2003年)の観光客が訪れ、地元の各業界に膨大な金額を落とす。このため、経済上きわめて重要な業種の一つとなっており、政府は観光局を設置し、世界各国の出先事務所を通じて自国の観光や産業のPRを進めている。

日本でも、2002年のサッカー・ワールドカップ開催を契機に、外国人旅行者の増加を目指す「グローバル観光戦略」を策定。国土交通省がビジット・ジャパン・キャンペーンを展開し、2010年までに訪日客を倍増(1000万人)させる計画を立てている。

観光業は、旅行業(旅行代理店等)、宿泊業(観光ホテル等)、飲食業、運輸業(航空会社、バス会社等)、製造業(名産品、お土産製造等)、建設業(観光施設整備等)、その他の業種等、関連産業の裾野が広く、観光業が成長することによる経済の波及効果は大きい。

◎ 観光庁統計資料                                             

主要旅行業者の旅行取扱状況年度総計(2007年4月~2008年3月)

区 分

取扱額(百万円)

取扱額(百万円)前年同期

比率(%)

海外旅行

2,703,353

2,664,998

101.4

外国人旅行

62,795

49,693

126.4

国内旅行

4,051,904

3,942,755

102.8

合 計

6,818,053

6,657,447

102.4

訪日外国人旅行者数及び日本人海外旅行者数の推移

旅行者数(千人)

1995年

2000年

2005年

2008年

日本人海外旅行者数

15,298

17,819

17,404

15,987

訪日外国人旅行者数

3,345

4,757

6,728

8,351

      観光庁のアクションプランでは訪日外国人旅行者数を2010年まで1000万人、2020年までに2000万人を目指している。

      外国人旅行者受入数国際ランキングでは日本は世界で第28位(アジアで第6位)である。

以上の統計資料でも解るとおり、観光業はこれからますます成長する事業分野であり、関連産業の裾野も広く、我々中小企業も自社の商品・サービスを提供する有力な事業分野として注目しておく必要がありそうだ。                           (廣島 清量)

2009年9月30日 (水)

■ クラウド・コンピューティングについて

我々中小企業においてもここ10年位前からパソコンを使って業務処理することが当たり前になり、インターネットの利用も急速に広まりつつあります。

ところで、インターネットを使ったコンピュータの利用技術は我々が気付かないうちに想像以上に進展していることをご存知でしょうか?最近、テレビ、新聞等のマスコミでクラウド・コンピューティングという言葉が話題になっているのもその一つです。

クラウド・コンピューティングとは、インターネットの先にあるサーバーに処理してもらうシステム形態を指す言葉です。我々ユーザーが何らかの作業を行うときに、自分の目の前にあるパソコンや会社のネットワークにあるサーバーではなく、インターネット上のサーバーを利用して処理してもらいます。クラウド(cloud)とは雲の意味で、インターネットを図示するのに雲のイメージをよく使うことからきています。

顧客管理や会計処理のような企業の業務アプリケーション、Gmailに代表されるメール・サービスやファイルを保存するストレージ・サービスのような個人向けのものまで、クラウド・コンピューティングと呼ばれるサービスは多数登場してきています。最近では、ワープロや表計算といった、パソコン上で使うのが当たり前だったオフィス・アプリケーションも出てきています。

従来のコンピュータ利用は、我々ユーザーがコンピュータのハードウェア、ソフトウェア、データなどを自分自身で保有・管理していたのに対し、クラウド・コンピューティングでは「ユーザーはインターネットの向こう側からサービスを受け、サービス利用料金を払う」形になります。

我々ユーザーが用意すべきものは最低限の接続環境(パソコン、携帯情報端末とその上で動くインターネット接続環境)とサービス利用料金となり、処理が実行されるコンピュータ本体や蓄積されるデータなどの購入や管理の大半が不要となります。つまり、ITの利用も購入するかレンタルするか選択が必要な時代になってきたのです。                     (廣島 清量)

《10月23日(金)にセミナーを開催します!!》

      相続が開始したら、いつまでに、何をやるべきか?

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〔お問合せ〕ひろしま会計事務所 担当:平林 0120-58-2571         

2009年9月 2日 (水)

■ 新規取引を開始する際の注意点は?

既存取引先との取引額の減少、又は取引の停止などによる売上高の大幅な減少に、頭を悩ませている経営者は多いでしょう。その現状を打開する方法として、新規取引先の開拓があります。とはいえ、新規開拓しようにも、「売上代金の回収ができるかどうか心配で、なかなか行動に移せない・・」といった声を良く耳にします。

 ある程度の売上が確保できていれば、多少のリスクを背負ってでも新規開拓に向けた行動を起こす事も可能かもしれませんが、売上が減少している状況下では、たった一社の不良債権が致命傷になりかねません。新規開拓の必要に迫られていない時期には行動できるのに、一番行動を起こさなければならない筈の時期に限って、貸倒れが心配で行動できない・・といったジレンマが、そこには存在するのかもしれません。

 しかし、会社の存続を考える以上、そのまま何もせずに流れに身を任せているだけでは会社の発展はおろか、存続さえ危ぶまれます。時にはリスク覚悟で行動しなければならない場合もあるでしょう。では、リスクを回避、もしくは軽減する為にできることは・・?

    当初取引は少額からスタート

売上を上げるためには、仕入や人件費など、経費が先にかかるケースが多々あります。この場合、取引額が大きくなれば先立つ資金も大きくなります。場合によっては、その為に借り入れの必要が出てくる場合もあるでしょう。そこまでした売上代金が万に一つでも回収できない・・などということになってしまっては会社の一大事です。そうならない為にも、最初は少額な取引から開始するというのが一般的な方法といえます。

ただし、数回少額な取引で相手を安心させたうえで、大きな取引になったとたん連絡がとれない・・などという例もあるようなので、油断は禁物です。

    代金を現金回収や、前受けの契約にする

売上債権自体が発生しませんので、貸倒れの心配がなくなります。

    有料ではありますが、商工会議所の信用調査サービスなども活用できます

商工会議所の会員限定サービスです。当事務所も会員となっております。ご依頼があれば代理で調査を承ることもできます。

    社長自身の直感が決め手です

決算書などの書類や、外部の調査も100%信用できるとは限りませんし、所詮は参考資料の一つにすぎません。やはり最終的には社長が自ら相手先に足を運ぶ必要があるのではないでしょうか?「百聞は一見にしかず」。実際に現地に行く事でしか得られない情報があるかもしれません。相手先の社長や、担当者が信用できる人物かどうか?会社の雰囲気や、従業員の働きぶりなど、直接その目で確かめてみてください。(斎藤 勝)

2009年8月19日 (水)

■ 会社を休眠にするには!!

会社を設立してみたものの、事業があまり上手くいかず一時的に休業したい、あるいは、現在事業をしておらず、会社を閉じようと思っているが、今後もしかしたら事業を再開するかもしれないと考えていらっしゃる方は、会社休眠の手続きを行うと良いでしょう。

通常、会社を閉じようとする場合、清算という手続きが必要になります。清算は、会社の財産をすべて処分し、株主に返還をする手続きです。この清算の手続きは煩雑でコストもかかることから、一般的には会社を休眠にし、放置をしてしまうことが頻繁に行われています。

休眠会社とは、解散・整理の手続きが行われず、登記上は存在するが実際の営業活動は行っていない会社をいいます。

①休眠会社の手続き

現在活動中の会社を休眠にするには、税務署・都道府県税事務所・市町村役所に休眠の届出(異動届出書)を提出する必要があります。この異動届出書に休眠の旨を記載して提出するだけで他の手続きは必要ありません。

②税務申告

休眠中も税務申告は行う必要があります。法人税確定申告書の別表1に会社の納税地、会社名等を記載し、中央に「休業中」と大きく書いて提出すればOKです。都税事務所、市役所等への提出も同様です。

また、過去の赤字を将来の黒字から差し引くことのできる繰越欠損金という制度がありますが、これ

は連続して確定申告書を提出していないと適用されません。

③納税

 営業活動がなければ法人税・消費税はゼロとなりますが、地方税の均等割だけは原則として納付しなければなりません。しかし、自治体によっては均等割が免除されるところもあります。これは自治体によって対応が異なり、免除にならない地域もありますので、詳細は納税地の自治体にお尋ね下さい。

④登記について

有限会社であれば問題はありません。株式会社の場合は休眠中も役員の重任登記が必要です。取締役の任期を10年に延長している会社についてはしばらくは必要ありませんが、休眠中だからといって登記が免除されるわけではありません。(伊藤 淳二)

2009年8月 5日 (水)

~21年9月分からの健康保険料率について~

主に中小企業が加入するとされる政府管掌健康保険の保険者は、平成20年10月より公法人である全国健康保険協会(協会けんぽ)となりました。

しばらくの間は政府管掌のときと同じ保険料率でしたが(8.2%)、今年の9月分(一般被保険者の場合は10月末納期限)より、都道府県ごとに設定されることとなります。

1都3県の保険料率は以下のとおりです。(事業主負担分+被保険者負担分)

 東 京 都  8.18%  千 葉 県/埼 玉 県  8.17%  神奈川県   8.19%

ここで注意すべき点は、

①自分の住所ではなく、勤務先の住所の都道府県の料率が採用される。

②同じ会社でも事業所の都道府県が違えば保険料が異なる場合がある。

ということです。

◆②について

都道府県毎に地域の医療費を反映した新しい保険料率が設定される

=所属する都道府県によって保険料の負担が変わってくる

会社がどこで申請したかによる

勤務先の会社が東京本社で一括して「協会けんぽ」に申請をしていれば、従業員はどこに住んでいても、東京都の保険料率で保険料が決まります。

 反対に、地方に本社がある会社がその本社で保険の申請をしていれば、従業員はその地方の都道府県の保険料率で保険料が決まります。

このように、同じところに住んでいても勤務先によって保険料が変わってくることがあるのです。

また、同じ会社に勤務しても保険料が違ってくる場合があります。

具体的には会社が事業所ごとに保険の申請をしていた場合、同じ会社でもどの事業所に所属しているかで保険料が変わるということです。                   (廣島 三津子)

◇ 夏休みのため8月12日(水)の掲載はお休みさせていただきます。 

2009年7月29日 (水)

■ 社会保険料等の延滞金軽減法が成立

現下の厳しい経済社会情勢の影響を受け、資金繰りに苦しむ中小企業等が

社会保険料の支払いに困窮し滞納することが増えてきました。

そこでこの度、そのような事業主等の経済的負担の軽減を目的とし、納期限

から一定期間の日数については、延滞金利率を軽減する法律が成立しました。

社会保険料は毎月の健康保険料及び厚生年金保険料を翌月末までに事業主が納付することとなっていますが、このうち半分は従業員負担分であり従業員から預かっているものであることから、滞納に対しては厳しい措置がとられていました。
 現行では企業が厚生年金保険料や健康保険料、労働保険料などを滞納した場合、納期限の翌日から納付の前日までの期間、年14.6%の延滞利息が徴収されています。

今回の改正で、これが納期限から3ヵ月以内に限り、日銀が定める基準割引率に4%を加算した利率(21年度の場合4.5%)に引き下げられます。

※ 労働保険料については年1回の徴収であることや申告方式であることから軽減される期間は2ヶ月間です。

※ 軽減利率が適用されるのは平成22年1月1日以後に納期が到来するものからです。

 <税務上の処理>

 社会保険料の延滞金は会計上支払利息等として処理し、税務上(法人税等の課税所得の計算上)も経費に計上することが出来ます。

これに対し、国税や地方税を滞納した場合に課される延滞税等(利率は社会保険料と同様に年14.6%(納期限から2ヶ月間は4.5%))は会計上租税公課等として処理しますが、税務上は経費から除外されてしまいます。

今回の改正で税金を滞納した場合の延滞税等と社会保険を滞納した場合の延滞金の利率が同じになるため、税務上経費から除外されてしまう延滞税の元となる税金から先に納付したほうが有利ではありますが、社会保険料の延滞金も軽減されたとはいえ高い利率で課され

てしまうため、延滞をしないに越したことはありません。 (水田 裕之)

2009年7月22日 (水)

■ セーフティ共済で倒産防げ! 節税にも利用できる!!

中小企業倒産防止共済制度(経営セーフティ共済)への加入企業が増えている。昨年来の景気悪化の煽りを受けて、企業倒産が相次ぐためで、平成20年度は同19年度より約1万件増加した。月々の掛金は、全額を損金に算入できるとあって、リスクヘッジに加え節税もできるという点も加入に拍車をかけているようだ。

 同共済は、取引先が倒産し売掛金などが回収できない場合、掛金総額(上限320万円)の10倍相当額または回収が困難となった売掛金などの金額(上限3,200万円)のいずれか少ない金額を、無担保、無保証人、無利子で借入れできるという制度。連鎖倒産の防止が目的とあって、融資実行のスピードは非常に速く、昨年度の融資実行までの平均日数は10日だ。

 同共済の月々の掛金は、5千円から8万円の範囲内で設定でき、この掛金は全額を税法上損金算入できる。また、積み立てた掛金は解約時に、加入期間に応じて設定されている割合で返金(40カ月加入で全額返金)されるため、会社の業績が好調なときに掛金を積み立てておき、業績が悪化したときに解約することで、リスクヘッジに加えて節税、貯蓄を効率良く行うことができる。

また、掛金の前払いも可能なため決算期末に1年分前払いすることで、その事業年度に1年分の前払掛金を損金算入できる。

 さらに、東京都(東京都以外でも13の自治体)では同共済の掛金の一部を助成してくれる。

 対象は新たに共済に加入し、共済掛金を6ヶ月以上納付した中小企業で、助成額は加入後6か月分掛金の4分の3、1件あたりの助成上限額は36万円(掛金上限8万円×6ヶ月×4分の3)である。  (廣島 清量)                               

2009年7月 8日 (水)

■ 役員借入金について

業績の悪化から役員報酬の全部または一部が未払いになっている、または会社の資金繰りの悪化から、会社の運転資金を社長個人が捻出している・・こういった場合の未払い分又は社長が貸したお金は、会社の決算書などでは未払金または役員借入金として負債に計上されています。本来これらは社長にとって、会社に対する債権であり、業績回復などを機に会社から返済してもらう事が望ましいといえますが、過年度からの積もり積もった多額の役員借入金が計上されている場合などで、中には「もう全額を返済してもらうのは難しい・・」といったケースもあるのではないでしょうか?     

 それでは、それらを解消する方法を考えてみましょう。

★役員報酬減額分の補填として

業績が悪化しているから・・という理由で役員報酬を減額するケースがあります。とはいえ、社長個人にも生活がありますから「これ以上下げてしまっては・・」という事もあるでしょう。その場合には、減額した報酬分を役員借入金の返済で賄うという方法があります。報酬を下げるので所得税や社会保険料負担が減少する一方、個人の生活費は確保できます。会社としては、報酬として支払うか、借入金の返済として支払うかの違いだけです。また役員報酬を途中で変更する事は難しいですが、借入金の返済であれば資金繰りの都合によっては返済額を減らすなどの柔軟な対応も可能です。当然役員報酬が減少する分、利益が出やすくなりますので、欠損金などがある場合に検討してみると良いでしょう。

★債務免除による解消

役員借入金の返済を免除することで、負債を減らす方法です。本来であれば、会社に貸したお金ですから全額返してもらいたいところではありますが、なかなかそうはいかないといった場合に、いっそのこと放棄してしまうことで会社の負債を解消できます。ただし、免除した役員借入金の額と同額が会社にとっては利益となりますので、繰越期間7年の間に利益と相殺できる可能性が低い多額の欠損金がある場合などに、その範囲内で行う方が良いでしょう。

★負債から資本金へ

もともと役員借入金は、負債として決算書に計上されているものの、その性質は資本金に近いといえます。一連の手続きによりこの役員借入金を資本金に振り替える事ができます。

先にも述べたとおり、役員借入金は社長の会社に対する債権なのでその額は相続時の財産に含まれます。返済される財産ならともかく、そうでなければ、まったく意味がありません。

実際にお金を動かすことなく、会社の財務状態を改善することが可能ですが、注意点としては  ①時価での増資となる為、その借入額が客観的にみて、どうみても返済不可能である場合などは差額が債務免除益等として課税される恐れがあること、②増額する資本金の額によっては、法人が赤字でも支払う住民税の一部(均等割り額)が増加してしまうといったことがあげられます。

                                   (斎藤 勝)